料理人への道は遠い……
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5月7日(月)
 本日は黄金週間明けでしたが実習がありました。
4月27日の日記を見ていただければ何をつくったかはわかります。
ま、一応説明しておきますと「筑前煮」と「温度卵」、「浅漬け」です。
今回の担当は火場だったので、だし取りとか湯通しとか温度卵の仕込みとかしました。
いやはや、筑前煮の仕上げとかやりましたが実際にやったおかげで
材料を放り込むタイミングとか非常に勉強になりましたよ。
っつーか、材料の仕込みとか全くやってないのでそこらへんはきついですが。
やはり完全分業制ということでしかたないのでしょうがどうにも気持ち悪いです。
ひとりですべてできるようにとかなりたいですが、
それってやはり自宅でもくもくと作るしかないのでしょうかねえ。

5月8日(火)
 本日は講習Aと概論×1でした。
本日の講習Aは前回に引き続いての椀物シリーズでした。
今回先生が作ったものを列挙していきます。
・湯葉真薯(しんじょ)薄葛仕立
・牡蠣(かき)真薯白味噌仕立
・鶉丸(うずらがん)合わせ味噌仕立
・蓬(よもぎ)豆腐赤味噌仕立
・オクラとろろ
以上の五品でしたが、どれもこれも美味しいものでした。
しかし真薯って美味しいものですよね。魚の白身とは思えません。
あ、それと鶉丸とは鶉のつみれのことです。肉団子と言ったらそれまでですな。
でもそんなことを言い出したら真薯だって白身団子だよなーって、先生が言ってました。
ま、難しい漢字を使っている場合は大抵振り仮名とか振ってありますよね。
それにしても味見できるっていいなあ、といつも思います。
 午後は概論でしたが、調理器具の紹介をだーっとやっただけでした。
なので特に記述するようなことはありませんでした。

5月9日(水)
 今日は進路相談がありました。…進路ですよ。
最近はホテルに入っているようなところで働いてみたいと思っています。
少し前まではどこか普通に店をかまえているところで…と考えていましたが、
つい先日先生に「最近、こじんまりとしたところで働きたいって言う人が増えて
いるようです。すぐに色々な仕事を任されるようにはなるでしょうが、
手が早くなることはありませんよ。」と言われ、ちょっと考えてみたりもしたのです。
地方の旅館やホテルだとそれこそ何百という数の魚をさばいたりするので
効率を考えてさばいていくうちに上手いさばきかたを覚えたりするそうです。
確かに、毎日それだけの量をさばいていれば嫌がおうにも覚えることでしょう。
で、拙者はそのほうが自分にはいいのではないかと思いました。
 あとは食品学というモノを習いましたが、今回は食品学とはどういう学なのかと
いうことを簡単に説明していただいて終わりでした。
 午後は基礎実習で栗むき包丁と細工包丁を研いで、その後大根を桂むきしました。
…桂むきですが、どうやら変なクセがついているらしく、先生に懇切丁寧に教えて
いただき、なんとか正しいやり方だけは取り戻すことができたみたいです。
一応帰宅してからも桂むきの復習をしましたが、どうも肩に力が入りすぎてしまって
いけません。

5月10日(木)
 今日は講習Bと公衆衛生学がありました。
明日実習でつくるメニューは「煮物:肉じゃが」「先付:鶏笹身の生姜酢掛け」
「香の物:大根と昆布の塩もみ」です。…当然御飯もあります。
さて遂に出てきましたよ、社会人男性が一番好き(だろう)と言われる肉じゃがが。
でも今回の肉じゃがは家庭料理っぽくない材料です。なんといっても人参が入ってません。
といってみても結局は肉じゃがなので作り方等はご家庭の作り方となんら変わりません。
前回の筑前煮もそうですが、結局は郷土料理が元なのでどうしようもありませんな。
他のメニュー「鶏笹身の生姜酢掛け」ですが、これは名前を見てもわかるように
酢の物です。三杯酢に生姜汁を合わせたものをかけて食します。
えっと、香の物ですがこれは拙者が勝手に命名しました。ま、そのままです。
 午後は公衆衛生学の2回目がありました。…もしかしたら1回目のことを書いてないかも
知れません。ま、気にしないで下さい。内容は一応食材等にかかわってくるはずなのです
が、どういうことか全く食材について語られることはありません。
今回の内容は簡単に言ってしまうと「生物学」と「環境学」についてやった、ですか。
でもその先生ってのが非常に面白い人で2時間でも3時間でも講義を受けていたいという
気分にさせてくれます。学生って楽しいなぁって思う瞬間です。

5月11日(金)
 本日は実習と講習Aでした。で実習なんですが、ここ数回フルメンバーではないです。
高校を卒業したての二人が入れ違いで休んでくれるからです。そのおかげで絶対的な
仕事量が多くなり、そのせいで他の班と若干仕上げなどに時間差が生じてくるのです。
こればかりはなんとかならんかなあと思いました。
で、肝心の肉じゃがやら生姜酢掛けなんですですが、切り場をちょこっと担当しました。
独活(うど)とか桂むきして乱切りにしたのですが、大きいと注意されてしまいました。
先付というものなのに何も考えずに切ってしまった拙者のミスでした。反省。
 午後は講習Aで「お造り」について学びました。先生が実習台で実際に天然の真鯛を
捌きながらの講義で非常に勉強になりました。っつーか、しめるところから教えてもらえ
るので当然鯛は生きていますよ。…そしてその鯛のしめ方から三枚おろしのところまで
行き、その後その捌いた鯛は「松皮(まつかわ)造り」と「平(ひら)造り」に
なりました。「松皮造り」というのは皮が松の木の表面のようになっているやつです。
「平造り」というのは普通のやつです。
 そういえば造りにも椀物と同じように構成があるのです。どういうことかといいますと、
造身(つくりみ)…メイン(ここでは鯛のこと)
あしらい…造身に付属するもの。けん(大根のアレ)、つま(菊の花とか)、
     薬味(わさびとか)を指す。
つけ醤油…そのまま。これがないと味気ないことこの上なし。
と、このように「造り」というのは意外と奥深いものなのです。すごいですねえ。

5月14日(月)
 本日は講習Bと茶道がありました。
えっと、遂に魚を捌きます。といっても鯵(あじ)ですが。
しかしあなどることなかれ、千里の道も一歩からというように、ここから始まるのです。
実習のメニューとしては「鯵の塩焼き」と「切干大根」というたった二品だけですが、
今回の実習は鯵(というか魚)の捌き方を勉強するのがメインなのでこんなもんです。
えー、もう片割れの「切干大根」ですが、作り方は皆さんのご存知の通りです。
…そういってしまったら「鯵の塩焼き」も同じなんですけどね。すみません。
でもなんで「切干大根」って料理の名前が素材の名前と一緒なんでしょうね。謎です。
 午後は茶道を学びました。…いや別に茶道室とかはありませんよ。
でもでも、お茶を立てました。当然抹茶です。そしてそして、和菓子も食べました。
亀屋萬年堂の「燕子花(かきつばた:と読ませるらしい)」という和菓子です。
亀屋萬年堂といっても王監督が宣伝している「ナボナ」のあそこではありません。
茶道で出す為だけに和菓子を作っているという業者さんです。
で、お茶を立てて飲んだ感想です。…生まれて初めて抹茶というものを味わいましたが、
それほど苦くなく(というか全く苦くない)、喉越しがさわやかで気に入りました。
昔からテレビなどで「苦い」「渋い」といわれていたので不安でしたが、
なかなかどうして、美味しいものでしたよ。実にいい体験をしました。

5月15日(火)
 えっと、鯵を捌きました。生まれて初めて魚を捌きました。うわー、楽しいなー。
まずはうろこをそぎとって「ぜいご」をとって頭を落として…うわ、包丁にうろこが!
…ダスターで拭いてもとれない!「そういう風になるからな、こまめにダスターで拭け
っていってるねんで?わかった?」…はい、すみませんでした先生。
なんてちょこちょこと注意されながらなんとか捌き、骨抜きで骨を抜いて串をうって焼き。
そして焼き立てをすぐに盛り付けてみんなで「いただきます!」いつも以上に時間が
かかって出来たものでしたが、その分おいしさもいつも以上に倍増。
…ほかにも切干大根をつくりましたが、これもこれで微妙に問題がありました。
まず、大根と揚げをいれてだし汁と戻し汁で煮立て、砂糖を入れ更に煮立てる。
煮汁が半分位になったら醤油を加えてさらに煮立てる。…なんだか妙に色の濃い切干だ。
一口味見…しょっぱい?あれれれ?…どうやら醤油の量が多かったようです。しかし
これくらいなら修正はきくのでなんとかなりました。というか先生がなんとかしてくれました。
 午後は講習A。造りについての第二回でした。
本日の造りは「平目のそぎ造り」「虎魚の薄造り」「鯛平造り」でした。
…ヒラメ。カレイとの区別って実は今まで曖昧でした。だって…ねぇ。
しかしそんな拙者も今日一日で一般レベル以上に。入ってくる知識量が並じゃないです。
毎日オーバーフロー気味で勉学に励んでいます。っつーか、嬉しい悲鳴が上がります。
これらの知識を総動員して1年後には立派な料理人見習になっていることを祈るばかりです。
とりあえずみなさんは知ってます?「左ヒラメの右カレイ」
これってそれぞれの頭をこちらに向けたときの向きを指しているんですよ?ま、予備知識として。

5月16日(水)
 「食器とは料理の着物である −北大路魯山人−」
本日は概論×1と煎茶×2、午後に基礎実習×2がありました。
概論では器について学びました。ま、だからこそ冒頭に魯山人の台詞があるのですが。
日本料理の器に対する概念は世界中の何処を探しても他にあてはまるものはありません。
西洋を見てください、洗練された丸皿の数々。これらは機能性を重視した結果の賜物です。
西洋ではその丸いキャンバスに料理という絵を展開していくのです。いわゆる平面芸術。
しかし日本は空間芸術なのです。日本料理の器をみてください。コースで見ても何一つと
して同じ食器がでてくることはありません。これこそが日本料理なのです。
なんて偉そうなことを語ってみましたが、実際日本料理は器までもが料理の一部です。
そして器を使うことで料理をさらにグレードアップさせることも可能なのです。
西洋じゃそういうことはできません。…いや別に西洋料理をけなしているわけでは。
で話は急に変わりますが、陶磁器って陶器と磁器をまとめて呼ぶだけの名称で、
陶磁器というモノはないということを今日はじめて知りました。ダメじゃーん。
 あと煎茶という講義ですが、これは茶道の一つ(といってしまっていいのかはわからな
いが敢えて解釈するとこんな感じ)で、しっかりと淹れ方とか作法とかあるものを習いま
した。ついでにホンモノの玉露というものも味わうことが出来ました。カテキン(渋みの
元)が出てくる温度よりも低い温度で淹れるので渋みがありません。素晴らしいお茶でした。
こうしてサブカルチャーにだんだん詳しくなっていくハリーなのでした。

5月17日(木)
 本日は概論×2と細工でした。
概論は昨日の続きで器についての講義でした。で、陶磁器を昨日やったので本日は
漆器、ガラスそして鰹節や煮干しについて学びました。漆器というものは日本にしかなく、
英語でJapaneseと称されるくらい海外からも注目されていたりします。しかし扱いが
難しいことから最近ではほとんど見かけることはありません。漆というものは木地に塗る
と、非常に腐り難くなり、水分を弾くようになるので非常に素晴らしいものです。
そして接着力もあります。…すぐに漆がはげてしまったという漆器を持っている方も
いると思いますが、それは単純に漆だけをぬっているわけではなく、漆と木地の間に
ワンクッションとして砥粉(とのこ)が塗られているからそうなるのです。
直に塗ったものはそういうことは決してありません。
あと、漆器が廃れた原因はもう一つありまして、その原因というのが「輪島塗」の宣伝
だったと先生はいいます。高級感、これが今では足枷となっているみたいです。
 細工では相生結びというものをつくりました。これもお祝い事でフクロにつけるもの
ですが、なかなかむずかしいものなんですね。
 そして午後はテストがありました。
…は?テスト?それって25日じゃなかったんですか?…今日なんですか?はぁ…。
ということで切り方のテストを行いました。題目は「人参を使って輪切り、半月切り、
銀杏切りを行う」。結果は輪切りが×で不合格でした。制限時間20分って意外と拙者に
とっては厳しいものでした。っつーかダメじゃん。…練習しないとなぁ。

5月18日(金)
 今日は講習BとAがありました。
今度の実習でつくるものは椀物「鯵つみ入れ汁」と煮物「ひじき炒め煮」です。
惣菜シリーズも「筑前煮」「肉じゃが」「切干大根」とつづいていますが遂にひじきが
登場です。ここまで来ますと次に出てくるのが何か逆にわからなくなってきます。
っつーか、惣菜屋でどういうものが惣菜として売られているのか自体わかりません。
…とにかく、これらの惣菜はまかない料理にはもってこいなのでしっかりと覚えて
おきたいと思います。ちなみに「鯵つみ入れ汁」は鯵を捌く練習の為のメニューです。
そして火を通すのは素人同然の拙者達が捌いた物を生で食べるにはあまりにもリスクが
高いからという理由からです…当然でしょうね。
あ、つみ入れ汁というのは皆さんもご存知のつみれのことです。…確かそうです、はい。
 講習Aでは造りの第3回がありました。今日は「キス(漢字出ない)昆布じめ」、
「細魚(さより)細造り」「鮪(まぐろ)角造り」「鰹(かつお)いぶし造り」の4品。
「鮪角造り」は角造りという切り方の為だけにありました。本日のメインは鰹の捌き方
でした。実際に目の前で捌かれていく鰹やキス、細魚をみていて『基本はどれも同じ
なんだなぁ』と改めて実感し、何度も見ていることで少しずつ捌き方のコツというものが
わかってきたような気がしてきました。あとは実際に数をこなして慣れるだけです。

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